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ACLSとは
2000年8月,米国心臓協会(American Heart Association,AHA)からGuidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation(CPR) and Emergency Cardiovascular Care(ECC)「心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000」(以下ガイドライン2000)が発表された1).二次救命処置(Advanced Cardiovascular Life Support,ACLS)は,「救命の連鎖」(図1)の4つめの輪であり,医療従事者による医療器具・薬剤を用いた高度救命処置の総称である.ガイドライン2000のACLSアルゴリズムには,心室細動・無脈性心室頻拍・心静止・無脈性電気活動に伴う心肺停止に対する対処,心肺停止に陥っていない徐脈・頻脈に対する対処,急性冠症候群,虚血性脳卒中(脳梗塞)に対する対処が含まれるが,最も重要視されているのは,目撃された心室細動や心室頻拍による心肺停止に対する極めて重要な始めの10分間の対処,特に早期除細動を行う技能である.
心室細動や心室頻拍による心肺停止は早期除細動により社会復帰が期待できる病態であるが,一方で,心室細動や心室頻拍が発症してから除細動までの時間経過とともに社会復帰率が低下すること,除細動までの時間の心肺蘇生(Cardiopulmonary Resuscitation,CPR)施行が社会復帰率に正の影響を与えることが知られており,心肺停止からの社会復帰率を改善するためには,119番通報の遅れをなくすための啓蒙活動,市民によるCPR(気道確保,人工換気と心臓マッサージ)の施行,前出の全自動型除細動器(Automated External Defibrillator,AED)の普及などプレホスピタルケアの充実への取り組みも積極的に進められるべきである(図1).医療従事者に求められる役割は相対した特に心肺停止患者に遅滞なく適切な治療を開始することであり,CPRを含む一次救命処置(Basic Life Support,BLS)およびACLSの技能,特に心肺停止に対する対処は専門科にかかわらず医師には必須のものであり,コメディカル(看護師・技師・救急救命士)がACLS技能を修得することは蘇生というチーム医療を充実させるうえで大きな意味があると考えられる.
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