Japanese
English
特集 気管支喘息とその周辺
アスピリン喘息と類似疾患
Aspirin-induced Asthma and Velated Disease
佐々木 文彦
1
,
榊原 博樹
1
Fumihiko Sasaki
1
,
Hiroki Sakakihara
1
1藤田保健衛生大学医学部呼吸器・アレルギー内科
1Department of Pulmonary and Allergy Medicine, Fujita Health University School of Medicine
pp.525-534
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902296
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はじめに
アスピリンは,100年以上前より鎮痛・消炎剤として使用され,近年には狭心症や血栓塞栓症に対して血小板凝集抑制剤としても頻用されている極めて一般的な薬剤である.アスピリン喘息(Aspirin-induced Asthma,AIA)は,1922年にWidalら1)がアスピリン内服によって発作が誘発される鼻茸を合併した気管支喘息患者を初めて報告して以来,特殊な喘息の一病態として注目され続けている.しかし,AIA患者はアスピリンだけでなく他の非ステロイド性抗炎症薬(non-ster—oidal antiinflammatory drugs,NSAIDs),さらには様々な食品・医薬品添加物などによっても喘息発作を起こす.したがって,AIAはむしろ解熱鎮痛薬喘息(analgesics-induced asthma)と呼ばれるべき疾患である.
本症の発症機序としては,発作を誘発する物質のほとんどがアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase,COX)の阻害作用(プロスタグランディン合成阻害作用)を持つことから,アラキドン酸代謝経路上あるいはアラキドン酸代謝産物が関わる生体反応の異常の存在が予想されているが,未だに不明の点が多い.
本稿では,これまでに蓄積されてきた本症の臨床的特徴や診断法,治療法について概説し,さらに,その発症機序についての最新知見を述べたい.
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