Japanese
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綜説
アスピリン喘息―発症機序を中心にした最近の話題
Current Topics on Pathogenesis of Aspirin-induced Asthma
榊原 博樹
1
,
齊藤 雄二
1
Hiroki Sakakibara
1
,
Yuji Saito
1
1藤田保健衛生大学呼吸器内科・アレルギー科
1Department of Internal Medicine, Fujita Health University School of Medicine
pp.165-174
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100980
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はじめに
アラキドン酸シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用を持つアスピリン様薬剤=非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal antiinflammatory drugs;NSAIDs)に対する過敏反応にはいくつかの病型がある.過敏反応の発現する臓器や発現機序の差異により,Simonらは5つの病型に分類している(表1)1,2).I型は鼻炎症状あるいは/および喘息発作を発症するものでCOX-1阻害をトリガーにする.したがって,複数のNSAIDsで過敏反応が惹起され,いわゆるアスピリン喘息(NSAID過敏喘息)と呼ばれる疾患である.II型は慢性蕁麻疹がベースにあり,NSAIDsで蕁麻疹や血管浮腫が誘発されるタイプであり,発症にはやはりCOX-1阻害が関与している.III型は慢性蕁麻疹を合併しないで蕁麻疹や血管浮腫を発症するタイプでやはりCOX-1阻害が関係している.IV型とV型は薬物に対するアレルギーで発症し,当該薬物に対するIgE抗体産生が関与しており,NSAIDs間に交差過敏性はない.IV型は皮膚反応型であり,V型は全身反応を伴う重症型である.頻度としてはI型,次いでII型が多く,薬物アレルギーに分類されるIV型,V型は多くない.
本稿では,最も患者が多く,病態研究も進んでいるアスピリン喘息の発症機序に関する最近の成果を中心にして解説する.
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