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特集 新しいテクノロジ-による肺末梢病変の解析
マイクロサンプリング法を用いた気道表面被覆液中液性因子の検討
Assessment of Biochemical Substances in Pulmonary Epithelial Lining Fluid Obtained by a Newly Developed Bronchoscopic Micro-sampling Probe
石坂 彰敏
1
Akitoshi Ishizaka
1
1東京電力病院臨床検査科
1Internal Medicine and Central Laboratory, Tokyo Electric Power Company Hospital
pp.221-227
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100634
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肺疾患の病態解析や診断における 肺上皮被覆液中生化学情報
各種肺疾患の発症病態は極めて複雑であるが,それを検討するうえで液性因子の解析は重要である.しかしながら,血液検体から得られる生化学情報は肺の病態を推測するうえでは不十分である.そこで,気道上皮被覆液(ELF:epithelial lining fluid)を回収する目的で気管支肺胞洗浄(BAL)が用いられるようになった.しかし,BALによる血液ガスの悪化,感染播種などの問題に加えて,肺線維症の急性増悪,進行した慢性肺気腫症例でみられる注入された生理食塩水の回収率の悪さ,等々の問題がある.さらに,特定の気道部位よりのELFの採取も困難である.さらに,刻々と病態が変化するARDS(急性呼吸促迫症候群)などの急性呼吸不全においては連続的なELFの採取が望まれているものの,BALの経時的施行は困難であり,また倫理上の問題がある(表1).
従来より,投与薬剤の肺内濃度の経時的測定は喀痰を用いて行われてきたが,定量性の面で問題がある.定量的に解析することが可能となればpulmonary pharmaco-kineticsの分野において画期的なことと考えられる.さらに,ELF中の液性因子の解析がリアルタイムで可能となれば,エビデンスに基づいた治療薬剤の選択や治療効果判定において重要と考えられる(表2).
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