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第1土曜特集 不整脈学の新潮流――基礎研究・医工連携からAIの社会実装まで
基礎研究
心外膜脂肪は心房細動の元凶か?
Could epicardial fat be the cause of atrial fibrillation?
安部 一太郎
1
,
髙橋 尚彦
1
Ichitaro ABE
1
,
Naohiko TAKAHASHI
1
1大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座
キーワード:
心房細動
,
心外膜脂肪組織
,
炎症性心房線維化
Keyword:
心房細動
,
心外膜脂肪組織
,
炎症性心房線維化
pp.11-17
発行日 2024年4月6日
Published Date 2024/4/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2890111
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哺乳類には,大きく分けて白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞が存在することが古くより知られてきたが,現在では白色脂肪内に散在的に誘導されるベージュ脂肪細胞を合わせて,3種類の脂肪細胞に分類される1,2).これらの脂肪細胞(白色脂肪,褐色脂肪,ベージュ脂肪)は細胞内に多量の中性脂肪を有している点では同じであるが,その局在部位や構造形態,代謝・生理学的機能は大きく異なる.そのなかでも脂肪組織の大半を占める白色脂肪細胞は,皮下や消化管,心臓などの臓器周囲に広範かつ多量に存在し3,4),脂肪酸をエネルギーとして蓄積し,必要時に血液中に遊離脂肪酸として放出する “エネルギーの貯蔵と放出” という役割を主に果たしている.食事から摂取したエネルギーのうち消費されなかった余剰分は,本来,中性脂肪として皮下や腹部の脂肪組織に蓄積される.しかし近年,脂肪組織以外にも心臓周囲や血管周囲,肝臓,筋肉などにも脂肪が蓄積することがわかってきた.これらは異所性脂肪とよばれ,心血管疾患の発症や重症化,治療に対する反応性と関連していることから注目されている.本稿では,そのなかでも心外膜脂肪組織の心房細動発現への関与について,筆者らが取り組んできた研究成果を交えながら,概説したい.
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