Japanese
English
綜説
突然死の一次予防
Primary Prevention of Sudden Cardiac Death
栗田 隆志
1
Takashi Kurita
1
1国立循環器病センター心臓血管内科
1Department of Cardiology, National Cardiovascular Center
pp.401-409
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100568
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はじめに
現在,わが国において年間約3万人の内因性突然死が発生し,その多くは心室頻拍・心室細動(VT/VF)などの不整脈に起因するとされている.単純に計算すると17分に1人が突然死という重大な事態を迎えていることになる.
院外において発生した心停止患者の救命率は極めて低く,初回のイベントから蘇生された患者が次の発作でも再び同様の幸運に恵まれるとは限らない.また,VT・VFの既往を有する患者の再発率は高く,突然死の二次予防に関しては躊躇することなく最善の策が講じられるべきである.また,VT・VFの既往を有しないが,その発生率が高いと考えられる患者(一次予防)については的確なリスク評価(予知)と治療方針の決定(予防)が望まれる.
最近の研究によると,心臓突然死の予防に関してはその目的(一次予防あるいは二次予防)や基礎心疾患の違いにかかわらず,植込み型除細動器(ICD)がアミオダロンなどの抗不整脈薬に比して効果的であると報告されており,突然死のリスクの高い患者においては必然的にICDを中心とした治療戦略を考慮する趨勢にある.複数の大規模試験は一層強固なエビデンスに基づいた治療戦略(evidence based medicine:EBM)を可能にしたが,一方で,特有の患者背景を有するわが国に海外の試験が外挿できるかという問題が残されている.
本稿ではSCDのハイリスクと考えられる患者の一次予防を中心に海外のデータとわが国の患者背景を交えて考察したい.
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