プログレス
突然死の原因と予防・2―心臓突然死
上田 一雄
1
1九州大学医療技術短期大学部
pp.711
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103610
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急死を発病から24時間以内の予期せぬ死亡と定義すれば,その原因として脳血管障害が多く含まれてくるが,突然死を1時間以内の死亡に限定すれば心疾患に起因する例が圧倒的に多くなる.
久山町研究,追跡22年間における連続剖検846例中に1時間以内の突然死を含む90例の急死(10.6%)がみられた.1時間以内の突然死と,1~24時間以内の急死に区別してその原因疾患をみると,脳卒中による突然死はクモ膜下出血の1例にすぎないが,心疾患では24時間以内の死亡34例中,突然死が17例(50%)を占めた.逆に22例の突然死中17例(77.3%)が心疾患によるものであった.心臓突然死17例の内訳をみると,心筋梗塞と冠動脈硬化症を合わせると10例(58.8%)を数えた.冠動脈硬化症とは,剖検で高度の冠動脈のアテローマ硬化を伴うが,心筋には瘢痕(1cm未満)か線維化のみが認められた例である.心疾患による突然死22例中には,心臓弁膜症による2例と,いわゆる“ポックリ病”による5例が含まれた.
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