Japanese
English
Current Opinion
急性および慢性持続性心筋炎の治療
Treatment for Acute and Chronic Myocarditis
猪又 孝元
1
Takayuki Inomata
1
1北里大学医学部内科学II
1Department of Internal Medicine II, Kitasato University School of Medicine
pp.1065-1069
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100556
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最近1年間の心筋炎をめぐる全般的な話題
心不全や動脈硬化が広義の「炎症」を基軸に語られるようになった今,心筋組織における狭義の「炎症」病態である心筋炎が再び注目されている.しかし現況はというと,心筋炎そのものの確定診断があくまで古典的な病理学的側面から脱却できず,病因論的な疾病管理が一向に展開できていない.これは,従来までの方法論だけでは病因論に必ずしも十分たどりつけないという限界性を暗示する.
筆者はこの2年間,日本循環器学会学術委員会「急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン作成研究班」(班長:和泉徹)の一員として活動させていただく機会を得た.近日発表されるそのガイドラインは,系統立てた理解や実践には極めて有用な情報を網羅している.しかし,治療の各論そのものは一時代前の経験論的内容から大幅に進歩できているとは言い難い.これは心筋炎が稀少疾患というだけでなく,実は治療の理論的背景となる病態解明が臨床ベースでは一向に進んでいないことを浮き彫りにしている.したがって,ここではまず治療の項に先んじ,心筋炎の診断と病因論を基軸にこの1年間の話題を網羅してみたい.
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