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都市の清掃行政—行政的理念のありかた
須川 豊
1
1厚生省環境衞生課
pp.222-224
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200823
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都市の清掃行政を論ずるに當つて先ず問題となるのは,現行の汚物掃除法の功罪であろう。明治33年に制定せられたこの法律は市内の土地の所有者,使用者が掃除をなし,集めた汚物の處分は都市の義務で行い,公共の場所の清掃も亦市の義務であることを規定し,清掃行政について國家義務を全然考えていない。このことは清掃事業が住民の密集して生活している都市自身の個有事務であって,國はこれに對し責任を有しないという考え方を法的はあらわしたもので,終戰後の日本の地方自治の精神を明治の半ばに具現したといい得る。
この結果は文化國家建設といわれる現状において大都市の中央繁華街を屎尿水をこぼしながら歩いている馬車のみられる風景をあらわしたのである。即ち明治より昭和に至る中央集權に終始した日本の行政においてこの事業を發展せしめないのは當然である。
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