研究
脳卒中対策の効果—循環器成人病に関する行政的研究
新井 宏朋
1
,
野尻 雅美
1
,
村山 美千代
2
,
秋山 雅晴
3
,
中村 てい
,
本木 正勝
4
1千葉大学養護教諭養成所
2静岡県松崎保健所
3静岡県島田保健所
4地域脳卒中対策研究会
pp.233-240
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204829
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わが国における循環器成人病の研究で,最もおくれているのは,この疾患の予防対策を地域の公衆衛生活動として,いかに行政的に定着させてゆくかに関する研究であろう.
すでに,疫学的にはわが国の循環器疾患が西欧諸国と異なり,東北地方に典型的にみられるように,虚血性心疾患の発生は少なく,中年期脳出血の多発という独特の病像をもち,その成因も脂肪の過剰摂取や肥満とは関係のうすいことが明らかにされつつある今日,これに対する公衆衛生活動が遅々として進まないのは,行政研究のおくれによるところ,大なるものがある.そして,この行政研究のおくれている原因としては,わが国で循環器疾患を研究している公衆衛生学者が,ややもすると,狭義の疫学的研究にのみ目をむけて,行政研究を軽視するきらいのあること,ならびに,これに協力する臨床医学者も国際的に重視されている心臓疾患に興味をうばわれがちであるためと考えられる.
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