Japanese
English
Bedside Teaching
心電図を速読する
Rapid Interpretation of Surface ECG
庭野 慎一
1
,
佐々木 紗栄
1
Shinichi Niwano
1
,
Sae Sasaki
1
1北里大学医学部循環器内科学
1Department of Cardio-angiology, Kitasato University School of Medicine
pp.399-405
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100192
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はじめに
心電図という検査法には既に半世紀の歴史があり,現在では循環器分野における最も基本的な検査法となっている.しかし,様々な診断技術が開発され各々の疾患に特異的な検査法が実用化されている現代にあっても,非侵襲的に繰り返し記録でき,かつリアルタイムに診断できるという利点は他の検査法に追随を許さぬ重要な要素であり,刻々と変化する心筋虚血や不整脈の病態診断においては依然として最も重要な検査項目である.
しかし,心電図は特に初心者にとってはしばしば難解である.心筋の電気的現象を体表面で記録し,かつそれを様々な機能的病態に当てはめて解釈するという間接的な手順を必要とするため,心電図診断は様々な非特異的条件の影響を受ける.このため,特定の症例では心筋虚血の重要な徴候を示す所見が,他の症例では非特異的変化として看過されるなど,初心者には理解しがたい現象がしばしば生ずる.また,多くの教科書は,主に初心者の所見見落としを防止する目的で波形の時相に沿って多数の項目をチェックする方法を採用しているが,項目数が多すぎるため時間がかかりすぎる.専門医師は実際にはいくつかの重要ポイントに絞って心電図を速読しており,熟練すればこれに要する時間は僅かである.
本稿は,病態や症候別に,専門医師が心電図に着目するポイントについて解説し,特に初心者にとって実際的な心電図速読の方法を説明する.
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