Japanese
English
Current Opinion
不整脈の遺伝子診断
Genetic Diagnosis of Cardiac Arrhythmias
横田 卓
1
,
蒔田 直昌
1
,
佐々木 孝治
1
,
筒井 裕之
1
Takashi Yokota
1
,
Naomasa Makita
1
,
Koji Sasaki
1
,
Hiroyuki Tsutsui
1
1北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1Department of Cardiovasclar Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine
pp.1187-1191
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100132
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最近1年間の不整脈の遺伝子診断をめぐる全般的な話題
近年の分子遺伝学の進歩によって,家族性不整脈の一部に心筋イオンチャネルの遺伝子異常が同定され,心筋イオンチャネル病という新しい疾患概念が認識されるようになった.不整脈の遺伝子解析は,その原因となる遺伝子変異を特定することによって有効な突然死予防法を選択することに寄与するだけでなく,パッチクランプをはじめとする電気生理学的手法を用いた機能解析によって,その病態を分子レベルで理解することも可能にした.また,遺伝子診断は,症状や心電図異常が明白になる前から家系内の無症候性遺伝子保有者を同定し不整脈を予防することも可能にした.
心筋イオンチャネル病のなかでは,先天性QT延長症候群とBrugada症候群の研究が最も進んでいるが,最近,家族性心臓ブロック・後天性QT延長症候群・QT短縮症候群・カテコラミン誘発性多形性心室頻拍・催不整脈性右室異形成・家族性心房細動などの不整脈にも遺伝子異常が報告されている.先天性QT延長症候群についてはすでに7つの原因遺伝子が判明していたが,最近8番目の原因遺伝子として,様々な全身症状にQT延長を合併したTimothy症候群にCaチャネルの遺伝子変異が判明した.また,薬剤・電解質異常・徐脈などの二次的な要因によってQT延長が顕在化する後天性QT延長症候群の一部にもKチャネルやNaチャネル遺伝子異常が見つかっている.さらに,QT短縮症候群や家族性心房細動にも新たにKチャネル遺伝子変異が同定された.
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