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はじめに
人体臓器の三次元的な画像診断は,核医学に比べ空間分解能に優れたマルチスライスCT,MRIが有利である.絶えず収縮,拡張を繰り返している臓器である心臓についても,16~64列へと多列化が進むマルチスライスCTでは,高速イメージングが可能となり空間分解能,時間分解能に優れた三次元の心臓画像が作成されつつある.しかし,マルチスライスCTでは,骨を含めた全身の臓器の画像から目的臓器である心臓を取り出すために,領域抽出というデータの選別が必要とされる.この領域選別の段階が完全に自動化されていないため,処理時間がかかり,かつ操作者の主観が入り込む問題がある.
一方,核医学画像は心臓に特異性の高いトレーサの使用により,心臓を他臓器から分離し,かつバックグランドの少ない良好な画像を得ることができる.すなわち,特別な領域設定をせずに自動的に心臓の三次元画像を作成することが可能である.この核医学の領域で最近注目されている手法として,心筋血流トレーサを用いた心電図同期心筋SPECT(singlephotonemissioncomputer tomography)がある.心電図同期による心筋のSPECT画像収集により,心収縮・心拡張の各心時相での心筋断層像を撮像する方法である.左室辺縁自動抽出を行うソフトウェアを用いることにより,各心時相の左室三次元画像を作成でき,心室容積および駆出率などの心機能指標が定量的に算出できる.さらに,三次元画像をシネモード表示することにより,局所壁運動の評価も可能である.このように,心電図同期心筋SPECTにおける心筋画像の三次元解析によって,心筋血流状態の観察とともに心機能を同時に計測できることから,各種心疾患における病態診断への応用が期待されている.
本稿では,心電図同期心筋SPECTによる心臓画像の三次元解析について,その進歩と現状について概説する.また,核医学による機能画像と形態画像との融合画像表示を行うわれわれの新しい試みとその臨床的意義について解説する1).
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