Japanese
English
特集 咳喘息と周辺疾患
咳のメカニズム
Mechanisms of Cough
関沢 清久
Kiyohisa Sekizawa
pp.563-565
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100060
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咳の発生
咳反射は気道の重要な防御機構の一つである.種々の病態(表1)により咳受容体が刺激されると,そこから上行した刺激が延髄側背領域にあると推定されている咳中枢を介して声帯や呼吸筋に伝えられる.すると,短い吸息後に声帯が閉じ横隔膜をはじめとする呼吸筋の収縮が起き,胸腔内圧が急上昇する.声帯の開大と同時に咳としての音が発生し,一過性に気流速度がフローボリューム曲線の速度を超える呼出が起こる.この高い呼出流量により気管など大きな気道内に乱流が生じ,気道壁に付着する分泌物がはがれ気道外に喀出される.しかし,肺気腫症などでは呼吸筋の収縮効率が低下しているため効果的な咳ができない.
咳受容体
咳受容体は喉頭部,気道,横隔膜,鼓膜などに分布していると考えられているが,重要なものは気道と喉頭部に位置するものであろう.このうち喉頭部の受容体が刺激されると吸気の停止が起こる.喉頭部は気道の入り口に位置していることを考えると,この反射は気道内に侵入する異物や刺激性物質から気道を防御する合目的なものといえる.これに対し,通常の咳といわれるものは気道内の受容体が刺激され起こる.
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