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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
adenoma-carcinoma sequence
adenoma-carcinoma sequence
藤原 美奈子
1
1九州医療センター病理診断科
pp.734
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202891
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現在,大腸癌発生において,病理組織形態から大きく3つの経路が提唱されている.1つめは前癌病変として管状腺腫や絨毛状腺腫などの腺腫から癌が生じるとしたadenoma-carcinoma sequence,2つめは腺腫を介さず正常な大腸粘膜から発生するとしたde novo発生説,3つめは鋸歯状病変から発癌するとしたserrated neoplasia pathwayである.
1950年代から欧米では早期大腸癌の発見数が多くなり,多くの研究者が大腸癌の組織発生は腺腫由来と捉えられるようになった.Morson1)は,大腸腺腫と癌は類似した発症年齢と性別の傾向を示し,腺腫や癌の分布がほぼ同じであること,大腸癌切除検体で癌の近傍に腺腫を認めること,さらに浸潤癌の周囲粘膜に良性腺腫成分をしばしば認めることを挙げ,腺腫が大腸癌の前癌病変であると報告した.そして,ポリープから大腸癌が発生するというpolyp-cancer sequence2)を提唱し,大腸癌は腺腫から発生するというadenoma-carcinoma sequence説が導き出された.実際,10mm前後の腺腫や平坦な腺腫でも癌が併存しているという報告も多く,腺腫の癌化は起こりうる現象であり,腺腫内癌として周知されている(Fig.1).
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