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粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)とは“粘膜より深部に存在する壁内病変により粘膜が挙上されて生じた隆起の総称”とされ1),典型例では平滑な正常粘膜に覆われた,なだらかに立ち上がる隆起性病変の形態を示す(Fig.1).隆起の立ち上がりは病変が粘膜に近いほど急峻に,離れるほどなだらかになるため,X線造影検査および内視鏡検査の側面像から病変の主座を推測することができる(Fig.1b).また,粘膜ひだが隆起を橋のように乗り越えるbridging fold(架橋ひだ)を伴うことがあり,特徴的な所見とされる(Fig.1a).隆起の表面は周囲粘膜と同様の所見を呈するが,腫瘍の増大や粘膜層への近接・浸潤により陥凹・潰瘍を形成することがあり,delleと呼称される(Fig.1,2).辺縁不整,増大傾向とともに潰瘍形成は悪性腫瘍を疑う所見である2).
SMTの多くは,粘膜下層以深にあるさまざまな組織や細胞から発生した非上皮性腫瘍であるが,迷入膵や異所性胃粘膜,腸管子宮内膜症などの非腫瘍性病変もSMT様の形態を示す.delleがない場合は,病変が粘膜面に露出していないことが多く,通常の生検で病変組織を得ることは困難であるが,ボーリング生検やEMR(endoscopic mucosal resection)などにて粘膜下層を露出した後の生検で組織を採取できれば,病理診断が可能となる.超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration ; EUS-FNA)であれば,固有筋層以深に主座がある病変であっても組織の採取が可能であり,病理診断を行うことができる.
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