特集 慢性胃炎を再考する
12.胃底腺型胃癌―基礎と臨床
上山 浩也
1
,
八尾 隆史
2
,
永原 章仁
1
1順天堂大学医学部消化器内科
2順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
胃底腺型腺癌
,
胃底腺粘膜型腺癌
,
pepsinogen-Ⅰ
,
H+/K+—ATPase
Keyword:
胃底腺型腺癌
,
胃底腺粘膜型腺癌
,
pepsinogen-Ⅰ
,
H+/K+—ATPase
pp.1631-1640
発行日 2019年11月20日
Published Date 2019/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000994
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2010年に筆者らが提唱した胃癌の組織亜型・胃底腺型胃癌,gastric adenocarcinoma of fundic gland type (GAFG)の基礎と臨床について解説した.胃底腺型胃癌は明確な臨床病理学的特徴,内視鏡的特徴,分子生物学的特徴を有しており,今後も注目されるべき特殊な分化型胃癌である.胃癌全体のなかでの頻度はまだ低くまれな腫瘍と考えられているが,「胃癌取扱い規約」第15版においては特殊型の一つとして胃底腺型腺癌という名称で掲載され,2019年にはWHO分類第5版にもOxyntic-gland adenomaとGastric adenocarcinoma of fundic-gland typeという名称で掲載されたため,国内外において疾患概念はさらに浸透していくことが予想される.しかし,現状では一般的には診断は難しく,確定診断には免疫染色を含む病理組織学的診断が必要ということもあり,内視鏡診断体系と生検病理診断体系のさらなる普及が課題である.胃底腺への分化を示す胃癌は病理組織学的に純粋な胃底腺型腺癌と胃底腺以外の細胞への分化も伴う胃底腺粘膜型腺癌に分類され,それぞれの特徴も明らかになってきている.今後は胃底腺型胃癌の詳細な分類作成に加え,胃底腺型胃癌全体の発癌機序や発育進展形式の解明と予後の解析が課題であり,胃底腺型胃癌の病態解明と臨床的な取り扱いを確立する必要がある.
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