Japanese
English
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
疾患
胃
薬剤性胃粘膜障害
drug-induced gastric mucosal injury
小澤 俊文
1
1総合犬山中央病院消化器内科
キーワード:
不整形
,
地図状
,
円形の浅い潰瘍
,
多発潰瘍
,
胃前庭部潰瘍
,
深掘れ潰瘍
Keyword:
不整形
,
地図状
,
円形の浅い潰瘍
,
多発潰瘍
,
胃前庭部潰瘍
,
深掘れ潰瘍
pp.597
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202787
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定義/概念
薬剤性消化管粘膜障害は非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs ; NSAIDs)やアスピリン,近年ではプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)や漢方薬,抗癌薬,免疫チェックポイント阻害薬などで誘発される.中でも,NSAIDsのそれは古くから知られており,NSAIDs とは,ステロイド薬を除いた抗炎症作用を持つ薬物群の名称である.アスピリン(low-dose aspirin ; LDA)はカルボン酸系のNSAIDsに属するが,血管性疾患の予防治療薬として近年その使用頻度が増加している.NSAIDsはプロスタグランジン合成酵素であるCOX(cyclooxygenase)の阻害により抗炎症作用,鎮痛・解熱作用,抗血栓作用を有する.その一方で,副作用としての消化管粘膜障害には注意が必要で,消化管出血などの合併症予防は重要な課題である.
ところが,本疾患は自覚症状に乏しいのが特徴であり,約半数は痛みや食欲不振などを認めず吐下血で突然発症する.潰瘍既往歴がある患者や高齢者ほど発症頻度は顕著である.
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