今月の主題 非乳頭部十二指腸腺腫・癌の診断と治療
序説
非乳頭部十二指腸腺腫・癌の診断と治療—最近の動向
蔵原 晃一
1
1松山赤十字病院胃腸センター
キーワード:
十二指腸
,
腺腫・癌
,
粘液形質
,
内視鏡診断
,
内視鏡治療
Keyword:
十二指腸
,
腺腫・癌
,
粘液形質
,
内視鏡診断
,
内視鏡治療
pp.1611-1615
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202611
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はじめに
近年,内視鏡による上部消化管スクリーニング検査の普及を背景に,十二指腸上皮性腫瘍に遭遇する機会が増加し,特に非乳頭部十二指腸腺腫・癌の早期診断と低侵襲治療の必要性が高まりつつある.本症に対する癌取扱い規約は依然,未作成のままであるが,近年,症例の蓄積に基づいて診断と治療に関する報告が増加し,明確な診断基準作成への機運が高まっている.
本号は「非乳頭部十二指腸腺腫・癌の診断と治療」をテーマとし,病理診断,内視鏡診断と治療の最新知見を収載することによりそれぞれの問題点を整理し,現時点での一定のコンセンサスを得ることを目的として企画された.本誌において,非乳頭部十二指腸腺腫・癌が主題として取り上げられるのは,54巻8号(2019年7月)「十二指腸腺腫・癌の診断」以来2年ぶりである.
近年,非乳頭部十二指腸腺腫・癌において,その成り立ちを反映した粘液形質(細胞形質)に着目した検討が報告され,粘液形質に基づく分類の重要性が明らかになりつつある.本稿では,この観点から,最近の論文のレビューを含め,本症の診断を中心に概説する.
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