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H. pylori(Helicobacter pylori)感染率の低下に伴い胃癌の発生率は低下しつつあるが,食道胃接合部腺癌(esophagogastric junction adenocarcinoma ; EGJAC)は増加傾向にあり,本誌でも2001年(36巻5号),2009年(44巻7号),2015年(50巻9号),2017年(52巻3号)と,この20年間で取り上げられる頻度が高くなってきた.過去の特集を振り返ると,2001年には渡辺英伸,下田忠和,西俣寛人など,著名な先達が論陣を張り,小生も内視鏡治療に関して執筆した.食道胃接合部は狭く,従来のEMR(endoscopic mucosal resection)では治療困難な部位の一つだが,ESD(endoscopic submucosal dissection)では一括切除が可能であることを示している.2009年の特集では拡大内視鏡が登場し,その有用性が報告された.2015年になると,さまざまなモダリティを用いた診断が論じられ,2017年にはSM1の基準は500μmが妥当であることが示された.
この歴史の中で,残された問題点は術前の深達度診断,範囲診断と組織型診断である.食道胃接合部は屈曲し,狭いため,どのモダリティを用いても診断が難しい.そこで,本号ではX線造影検査,内視鏡検査,超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)の立場からhigh volume centerにおける深達度診断の現状を報告してもらった.EGJACはSCJ(squamo-columnar junction)に接すると,しばしば扁平上皮下に進展し,その進展範囲診断に苦慮する.いかに扁平上皮下進展範囲を診断するのか.また,早期のEGJACは分化型癌であることが多いが,時に低分化腺癌に遭遇することもある.内視鏡的な組織型診断は胃癌と同じでよいのか.これらを解明すべく,原稿執筆を依頼した.
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