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増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
食道
診断
色素内視鏡(ヨード/トルイジンブルー)
Esophageal Chromoendoscopy(Iodine/Toluidine Blue)
中村 理恵子
1
,
大森 泰
2
1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科
2川崎市立井田病院内視鏡センター
pp.554-555
発行日 2021年5月24日
Published Date 2021/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202328
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ヨード染色法
0.5〜1.0%のヨウ素/ヨウ化カリウム溶液を用いて食道粘膜(重層扁平上皮)を染色する方法である.正常食道粘膜上層と有棘細胞層内にはグリコーゲンが含まれており,撒布されたヨウ素が細胞内グリコーゲンと反応し発色する現象(ヨウ素・デンプン反応)を利用した染色法である.正常食道粘膜は茶褐色に染色されるが,癌細胞はグリコーゲンを含まないために黄白色を示す領域となる.このような黄白色領域をヨード不染帯と言う.この現象は表在型食道癌を診断する上で重要である(Fig.1a).
しかし,上皮欠損を示す食道炎などの炎症性変化,萎縮などの上皮菲薄部,異所性胃粘膜などでもヨード不染帯となり,注意が必要である(Fig.1b).上皮全層が癌細胞である病変は通常観察で淡い発赤を示すことが多く,ヨード染色では明瞭なヨード不染帯となる.染色直後は黄白色不染帯であるが,数分後に淡いピンクの色調変化が不染部に起こる.この現象をPC(pink-color)signと呼び,粘膜内癌では高頻度に認められる1)(Fig.1c).長径5mm以上・不整形の不染帯でPC sign陽性であれば癌である可能性が極めて高く,多発ヨード不染帯からの表在型食道癌拾い上げ診断に極めて有用である.
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