増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
4.多糖類の日常染色法
メタクロマジーを利用する方法(トルイジン青染色)
田村 邦夫
pp.717-721
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905869
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目的
酸性粘液多糖類はアニリン系塩基性色素と反応してメタクロマジー(異調染色)を起こす.例えば,トルイジンブルー水溶液で多くの組織成分は青色に染まるが,粘液や軟骨などは色素が本来有していない赤色調が出現して赤紫色に染まる.
メタクロマジー自体は古くから知られていて,エールリッヒ(Ehrlich)は「ある色素で組織学的要素を染める場合,要素が色素溶液とは異なった色調で染色される」と定義している.溶液中でもメタクロマジーはアニリン系塩基性色素と酸性基を有する高分子化合物の間で起こり,最大吸収波長が長波長側にずれることが確認されている.病理組織学においてはメタクロマジーを起こす物質はコンドロイチン硫酸,ピアルロン酸,ヘパリンなどの酸性粘液多糖類や核酸,アミロイドなどがある.
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