Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍
主題アトラス
大腸:炎症性腸疾患関連腫瘍
Colitis-associated Cancer/Dysplasia
林 宏行
1
,
小野 響子
1
,
辰巳 健志
2
Hiroyuki Hayashi
1
1横浜市立市民病院病理診断科
2横浜市立市民病院炎症性腸疾患科
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
Crohn病
,
colitis-associated cancer
,
dysplasia
,
p53
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
Crohn病
,
colitis-associated cancer
,
dysplasia
,
p53
pp.321-324
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202275
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概念・定義
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)に合併する癌の多くはIBD関連癌(colitis-associated cancerあるいはcolitic cancer;CAC)である.その前駆病変として,異形成(colitis-associated dysplasia;CAD,あるいは単にdysplasia)がある.まれに散発型腫瘍を合併することがあるので,IBDの所見がある部位に発生した腫瘍のうち,散発型ではないものをCAC/CADとする.
CADは細胞や組織構築に異型が乏しいことが多いため,病理診断が難しい.CADは基底膜を越えない非浸潤性のものと定義されており,異型度によりLGD(low-grade dysplasia)とHGD(high-grade dysplasia)に分類される1).また,異型度は総合的に判断される.具体的には,核腫大の程度,多形性・極性の有無,核偽重層の程度が基底膜側1/2を越えるかどうか,核分裂像の多寡などであるが,病理医間のCAD診断一致率は現状では低い2).
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