Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍
主題アトラス
大腸:低分化腺癌(印環細胞癌を含む)
Poorly Differentiated Adenocarcinoma, including Signet-ring Cell Carcinoma
新井 冨生
1
Tomio Arai
1
1東京都健康長寿医療センター病理診断科
キーワード:
充実型低分化腺癌
,
非充実型低分化腺癌
,
invasive micropapillary carcinoma
,
印環細胞癌
Keyword:
充実型低分化腺癌
,
非充実型低分化腺癌
,
invasive micropapillary carcinoma
,
印環細胞癌
pp.308-311
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202272
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概念・定義
低分化腺癌は,腺癌のうち管腔形成が乏しいものあるいは腺管形成が陰性でも細胞内粘液が陽性のものを言う1).ただし,腫瘍細胞が,①印環細胞としての形態を示すこと,②印環細胞癌が腫瘍の約1/2以上を占めること,③腺管形成が不明瞭であること,④粘液産生部位が腫瘍の1/2以下であること,⑤他臓器印環細胞癌(特に胃癌)の転移を除外すること,の診断基準を満たす腫瘍は印環細胞癌に分類される.また,管腔形成が乏しく低分化腺癌の範疇に入る腫瘍でも,髄様癌,内分泌細胞癌の特徴を示す腫瘍は低分化腺癌から除外する.低分化腺癌は癌胞巣の形態から充実型(por1)と非充実型(por2)に分類される.
従来,大腸低分化腺癌には髄様癌が含まれていた.しかし,髄様癌がWHO分類 第3版(2000年)2)および「大腸癌取扱い規約 第8版」(2013年)3)において一つの独立した組織型として分類されたことにより,低分化腺癌から除外された.このように,同じ“低分化腺癌”という用語でも,その病態の捉え方は時代とともに変化してきた.しかし,新しい規約分類に基づいた低分化腺癌の知見はまだ十分ではなく,大腸低分化腺癌について検討した報告は多少なりとも髄様癌が含まれていると思われる.
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