Japanese
English
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて
症例アトラス
感染性胃炎
サイトメガロウイルス胃炎
Cytomegalovirus Gastritis
小林 広幸
1
,
遠藤 伸悟
1
,
蔵原 晃一
2
,
清森 亮祐
1,2
,
渕上 忠彦
2
,
宮崎 正史
1,3
Hiroyuki Kobayashi
1
1福岡山王病院消化器内科
2松山赤十字病院胃腸センター
3江森医院
キーワード:
サイトメガロウイルス
,
胃炎
,
胃潰瘍
,
巨細胞封入体
,
胃梅毒
Keyword:
サイトメガロウイルス
,
胃炎
,
胃潰瘍
,
巨細胞封入体
,
胃梅毒
pp.1624-1627
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201881
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
疾患の概念と最近の動向
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)はヒトを自然宿主とするヘルペスウイルスに属する2本鎖DNAウイルスで,学名はhuman herpes virus 5であるが,感染細胞が巨大化することからCMVと呼ばれている.ヒトへの感染は胎内感染による先天性のものと,産道,母乳,唾液,精液,輸血などによる後天性感染に分けられるが,いったん感染すると生涯潜伏感染する1).従来,本邦では欧米に比べCMV感染者が多く,成人の約90%が抗CMV抗体陽性(既感染)とされていたが,近年では若年成人や妊婦の抗体保有率は70%を切るようになり,先進国レベルに近づいてきている2)3).
通常は不顕性感染に終わることがほとんどであるが,先天感染症や免疫不全状態の易感染性宿主での日和見感染(再活性化)が問題となる.その場合,CMVは全身諸臓器に多彩な疾患を引き起こすが,他のヘルペスウイルス〔単純ヘルペス,水痘・帯状疱疹ウイルス,EBV(Epstein-Barr virus)など〕と同様に消化管にも病変を生じ,なかでも胃はCMV感染の好発臓器であり,胃粘膜傷害(CMV胃炎)を生じる4)〜6).また,近年では免疫不全状態がない健常成人に発症するCMV胃炎の報告も増えてきている7)〜9).
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.