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Introduction
—なぜ今まで十二指腸腺腫・癌の病理診断基準ができなかったのか
松本 2019年現在,十二指腸腺腫・癌の病理診断基準はいまだ確立されていません.翻って臨床現場では,内視鏡検査による十二指腸病変の発見頻度は増加傾向にあります.十二指腸における病理診断基準の確立は,臨床での治療適応や手技の決定にも関係するため,待望されています.
小山 臨床としても,十二指腸の内視鏡診断については,できる限りの症例を集計しエビデンスとしてまとめたいのですが,診断学については停滞気味であることは否めません.今回集まっていただいた消化管病理学のエキスパートによる検討で,十二指腸腺腫・癌の病理診断基準について,ある程度のコンセンサスが得ることができれば,非常に大きな成果であると思います.
松本 そこで,本座談会では,各病理医の診断基準の検討と討議のため,十二指腸腺腫と癌の26例をバーチャルスライドで回覧し,事前に診断をいただきました.診断が一致していた症例,二分した症例,各個に分かれた症例などさまざまな結果が出ています.この診断結果をもとに,十二指腸腺腫・癌の病理診断基準についてご討議いただければと思います.なお,症例の選定とスライドの作成にあたっては,司会の八尾隆史先生(順大・病理)に加えて津山翔先生(順大・病理)にご担当いただきました.それでは八尾先生,お願いします.
八尾 ありがとうございます.それではまずはこちらのTable 1をご覧ください.診断結果の一覧です.さて,本座談会では症例検討の前に,まずは総論として十二指腸腺腫・癌の諸問題と論点を整理します.続けて,こちらの診断結果一覧を踏まえて症例ごとに検討を行います.診断が一致している症例からは共通認識を抽出し,診断が分かれている症例についてはできる限り論点を整理し議論を行います.最後にまとめとして,十二指腸腺腫・癌の診断基準についてコンセンスが提示できればと思っています.
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