Japanese
English
今月の主題 胃癌範囲診断における拡大観察のピットフォール
序説
胃癌の範囲診断における拡大内視鏡の有用性と限界
Introduction
小山 恒男
1
Tsuneo Oyama
1
1佐久総合病院佐久医療センター内視鏡内科
キーワード:
拡大内視鏡
,
胃癌
,
範囲診
Keyword:
拡大内視鏡
,
胃癌
,
範囲診
pp.247-249
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200163
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はじめに
内視鏡検査を用いて胃癌の範囲診断を行うには,胃癌の構造を理解する必要がある.胃癌は大きく分けて分化型癌と未分化型癌に大別され,その基本構造は全く異なる.
分化型癌の多くは粘膜を全層置換性に増殖するため,背景粘膜と癌部の境界は明瞭となる(Fig. 1).一方,未分化型癌は腺頸部を側方進展するため,最表層は非腫瘍性上皮で覆われている.したがって,その境界は不明瞭となることが多い(Fig. 2).しかし,未分化型癌であっても,癌が進行し全層置換した場合は,境界明瞭な陥凹を来す(Fig. 3).これが胃癌の基本構造である.
しかし,以前の教科書には,未分化型癌は境界が明瞭と記載されていた.未分化型癌は萎縮の少ない胃底腺領域に発生することが多く,萎縮のない胃底腺は腺管密度が高いため,腺頸部を側方進展することができない.この結果,癌がスクラムを組むように全層性に側方進展するため,境界明瞭な段差を形成する.一方,萎縮のある領域では,間質が広いため,未分化型癌は非腫瘍性上皮を破壊せずに,間質を側方進展する.この場合,境界が極めて不明瞭となり,内視鏡検査での診断は不可能である(Fig. 4).
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