--------------------
書評「カラー版 消化器病学─基礎と臨床─」
吉田 茂昭
1
1青森県立中央病院
pp.173
発行日 2014年2月25日
Published Date 2014/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114070
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
何とも壮大な教科書が刊行されたものである.全1,560頁,執筆者は何と482名にものぼる.これだけの執筆者を抱えながら,目次の作成作業から3年余りで刊行に漕ぎ着けられたことには驚きを禁じ得ない.通常,稿を急がせると内容が雑に流れるきらいがあるが,編者の浅香正博,菅野健太郎,千葉勉の各氏は,今や消化器病学の領域において,正に油の乗りきった第一人者中の第一人者であり,その厳しい監修のためか各章とも内容がわかりやすく,これだけの執筆者が分担したとは思われないほど統一性に優れ,さらに短期間に刊行されたことの最大のアドバンテージとも言えるが,正に最新の知識で埋め尽くされている.
本書における最大の特長の一つはカラー写真を多用している点であろう.消化器病学は,常に画像診断と表裏一体の関係にあることから,画像診断情報をいかに正しく理解するかが,診療や研究における勘所となっている.ことに,最近では,内視鏡領域の進歩が著しく,微細診断から治療に至る様々な知見が,消化器病学の進歩をリードしているが,内視鏡所見は病理組織学所見とともに,カラーでなければ詳細の理解が難しい.おそらくそのことが,これだけ多くのカラー写真を必要としたのであろうが,ただ単に多いというだけではなく,いずれも美しく内容の溢れる写真が示されており,これにより,文字情報からだけではなく画像情報からも診断学,治療学の神髄を理解できる内容となっている.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.