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書評「パーマー 消化器病学のポイント」
木原 彊
1
1川崎医科大学
pp.732
発行日 1977年6月25日
Published Date 1977/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112646
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E. D. PalmerのPractical Points in Gastroenterologyの邦訳が丹羽寛文,金子栄蔵氏の手によって出された.この本は原著者と邦訳者の序にかいてあるように,もともと医学生と卒後研修医のためにかかれた消化器病学のテキストである.
E. D. Palmerは1951年にBenign Intramural Tumor of the Stomach (Medicine, Vol. 30. 81-181. 1951)を書いた人だけに,この本の内容は極めて豊富で,これだけの内容を195頁によくまとめあげたと思われる.しかも,世界中どこで読まれても間違いないように細かい配慮があちこちに配られている.例えば,“無鉤条虫の中間宿主はウシ,ラマその他の有蹄動物である”とし,コンゴ地方やレバノンではまだ人口の7~15%にみられる舌虫類感染症まで記載してある.また豊富な内容を簡潔,明瞭,正確に記載している.Zenker憩室は口腔および下咽頭の項目に記載し,その発生部位は,Lannier-Hackermanの間隙だと正確である(わが国の教科書には間違いが多い).また原発性アミロイドーシスの半数に胃にも病変がみられることや皮膚疾患と消化器のところでは稀だが大切な悪性萎縮性丘疹症(Papulose atronhiante maligne)がDégos症候群としてちゃんと記載されている.
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