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書評「症候からみた消化器病学」
大柴 三郎
1
1大阪医科大学・第2内科
pp.1180
発行日 1985年11月25日
Published Date 1985/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109700
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日常臨床の場において疾病の診断には自覚所見は極めて重要な手掛でかりある.消化器,殊に消化管領域の疾患では身体理学的所見のほとんど見当たらない患者が多い.このことは外来のtentative diagnosisには主訴や自覚症状によるところが大きい理由である.しかも消化器系症状を訴える患者は多いが,その多くはいわゆる不定愁訴と言われるもので臓器特異性のない症状である.したがって外来診断には自覚症状の詳細な聴取が大きい役割を占めてくる.主訴の長期の経過・軽重,病悩期間の長短,食事との関連性,患者ど欠かすことのできない病歴であの置かれた環境なる.
1つ1つの自覚症状の発現機序は必ずしも解明されていないところも多い.明らかな他覚所見を有する患者,例えば吐下血,腫瘤の触知,黄疸,腹水,急性炎症に伴う腹壁の筋防衛などは疾患臓器の推定は必ずしも困難ではない.
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