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海外文献紹介「胃手術後の胃癌」
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.544
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113474
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Carcinoma of the Stomach After Gastric Operation: R. Orlando, J.P. Welch (Am.J. Surgery 141: 487~491, 1981)
消化性潰瘍の術後胃に起こる癌の報告は,既に2,000例以上に達している.潰瘍以外の疾患の術後にも起こっているし,胃腸吻合術の後にも起こる.今日消化性潰瘍および胃癌が減少を示しているにもかかわらず,胃術後の癌の増加は興味がある.
著者らは,過去20年間に経験した678例の胃癌中に17例(2.5%)の残胃癌を報告している.診断時の平均年齢は70.3歳,最初の手術時の年齢は52.7歳,術後癌発生までの平均期間は18.7年であった.うち15例はBillroth Ⅱ法の手術で,残りの2例は胃腸吻合術のみであった.13例は消化性潰瘍,2例はポリープ,1例は胃潰瘍,残る1例は胃癌であった.症状は腹痛が65%と多く,次いで体重減少,嘔吐,食欲不振などであった.診断法では,X線が16例中13例,内視鏡が10例中8例,生検が7例中7例,細胞診が7例中6例で正診をみた.治癒切除はわずか6例にのみ可能で,うち5例は全摘が行われた.6例では癌は明らかに吻合部から出ていた.すべて未分化癌で,予後は治癒切除の行われた6例で,平均9.4カ月にすぎず,姑息手術の11例では,6.1カ月だった.
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