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海外文献紹介「胃全摘後のパレット食道」
小林 世美
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1愛知県がんセンター第1内科
pp.1022
発行日 1980年10月25日
Published Date 1980/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112807
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Barrett-esophagus Following Total Gastrectomy: W. Meyer, F. Vollmar, W. Bär(Endoscopy 11: 121~126, 1979)
パレット食道の成因について,先天説と後天説がある.著者らは胃全摘を受けた患者における観察が,この問題の解明に役立つものと考えた.対象は食道・空腸の端々吻合を受けた20人の患者で,経過観察は平均4.8年である.うち18人は胃癌のため手術を受けた.内視鏡下の生検は,吻合の5cm上で2個と,更に食道の高位で1個採取された.3人の患者で,吻合部から10~15cm上まで発赤を認め,吻合部より5cm上の生検組織で円柱上皮を認めた.内視鏡的にパレット食道を疑ったことが組織学的に確診された.吻合部直上の腫瘍の再発による管状狭窄を示した例では,円柱上皮の定型的所見を呈した.他の3例でも斑状発赤またはびらんを認め,円柱上皮の介在を認めた.狭窄性の吻合部あるいは下部食道の明らかな括約筋様作用は,パレット食道例中の1例にのみみられたにすぎなかった.一方,円柱上皮を食道内に認めない例では,いずれも括約筋作用を認めた.
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