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海外文献紹介「胃食道逆流を示す患者での食道炎の病理発生」
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.496
発行日 1982年5月25日
Published Date 1982/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113472
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Pathogenesis of Esophagitis in Patients with Gastroesophageal Reflux: A.G. Little, T.R. De Meester, P.T. Kirschner, G.C. O'Sullivan, D.B. Skinner (Surgery 88: 101~107, 1980)
臨床的経験からみると,食道炎は胃食道逆流患者の約半数に起こるにすぎない.どうしてある者は食道炎を起こし,他の者は起こさないか,この研究は,噴門不全の患者で食道炎を起こす因子を明らかにするために行われた.
対象は,胃食道逆流を起こす50人の患者で,内視鏡的に26人は食道炎を示し,他の24人は正常であった.どちらのグループも下部食道括約筋の性状は類似していた.全患者に食道の酸クリアランス試験が施行された.その評価は,(1)投与された酸を除去する能力,(2)24時間の間に5分以上持続する逆流現象が何回起こるか,の2点でなされた.その結果,食道炎患者では非食道炎患者に比しクリアランスが障害され,逆流の回数が多かった.次に胃のエンプティングが測定された.非食道炎患者では正常とほぼ同じであったが,食道炎患者では,著明に障害されていた.逆流の起こる姿勢で分類すると,立位,臥位とも逆流を起こす患者で食道炎の頻度が最も高く,次いで臥位逆流患者,立位逆流患者の順であった.
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