特集 図説 胃と腸用語集2012
画像所見〔胃〕
鳥肌胃炎(gooseflesh-like gastritis)
春間 賢
1
1川崎医科大学消化管内科
キーワード:
antral nodularity
,
antritis
,
mammilliform
,
micronodular aspect
,
hyperplasia
Keyword:
antral nodularity
,
antritis
,
mammilliform
,
micronodular aspect
,
hyperplasia
pp.683-684
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113280
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
内視鏡検査時,胃粘膜に,あたかも鶏の毛をむしり取った後の皮膚のように,胃粘膜に均一な小顆粒状隆起が密集して認められるものを鳥肌状胃粘膜と呼び,その所見は胃角部から前庭部に認められることが多い.1962年に竹本ら1)は,20歳女性の胃カメラ所見で初めて“とりはだ”なる表現を用い,その後,“内視鏡的鳥肌現象”として報告した2).硬性鏡検査時によく観察され,若い女性に多く,検査に対して精神的緊張が強いために起こるのではないかと当初は考えられた.そのため,鳥肌状の胃粘膜を認めても,若い女性に多い生理的現象であると理解され,病的意義は少ないと理解されていた.
竹本の報告後,小西ら3)は“鳥肌状胃炎”と呼び,若年者に認められる化生性胃炎の初期像として,さらに,1985年に宮川ら4)は21例の鳥肌状胃粘膜症例を検討した.組織学的に腺窩上皮の過形成がほとんどの症例にあり,リンパ濾胞形成が多く認められたことを報告している.この論文ではHelicobacter pylori(H. pylori)感染との関連は論議されていないが,リンパ濾胞形成が目立つことから,胃粘膜局所の過剰反応の可能性があること,また,組織学的にfollicular gastritisであることなどが指摘されている.しかしながら,一般的には病的意義が明らかでなく,生理的変化と理解されていたためか,胃粘膜に関する内視鏡診断のテキストは数多く出版されているが,ほとんど取り上げられることはなかった.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.