特集 図説 胃と腸用語集2012
画像所見〔食道〕
食道裂孔ヘルニア(hiatal hernia)
眞部 紀明
1
,
春間 賢
2
1川崎医科大学検査診断学(内視鏡・超音波)
2川崎医科大学消化管内科
pp.681-682
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113279
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食道裂孔ヘルニアは,生理的に存在する食道裂孔をヘルニア門とし,腹膜,食道横隔膜靭帯,胸膜をヘルニア囊とし,胃の一部をヘルニア内容物とする内ヘルニアの一種である.食道裂孔ヘルニアは横隔膜ヘルニアの中で最も頻度が高く,本邦では平嶋1)がX線造影にて滑脱型(sliding type),傍食道型(paraesophageal type),混合型(mixed type)に分類し,現在この分類が広く用いられている(Fig. 1).
診断はX線造影のほか,内視鏡,食道内圧測定により決定されるが,可逆性の症例もあり,またどの程度から食道裂孔ヘルニアとするかの基準がないことが問題である.最近は内視鏡検査で食道裂孔ヘルニアを診断する場合が多いが,その分類には幕内2)の分類が有用である(Fig. 2).同分類法は,上記の問題点を踏まえたうえで,確診(definite)と疑診(minor)と大まかな分類を行っている.また,Hillら3)が提唱している内視鏡反転観察時のflap valveの評価も下部食道括約部機能の判定に有用であり,逆流性食道炎の内視鏡的重症度との間に相関が認められると報告されているが,食道裂孔ヘルニアの直接的な分類法ではない点に注意が必要である.
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