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海外文献紹介「近位迷切の7年間の経過追求成績」
上田 栄蔵
1
1関東逓信病院消化器内科
pp.850
発行日 1980年8月25日
Published Date 1980/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113043
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A Seven-year Follow-up of Proximal Gastric Vagotomy, Clinica Results: Liavago I, Roland M(Scand J Gastroent 14: 49~56, 1979)
オスロー市のAker大学病院では1970年以降は過酸の消化性潰瘍に対し,近位迷切がなされている.胃潰瘍以外の症例で,近位迷切後5~7年間経過した243例中,他病死および消息不明を除く224例を対象とした.十二指腸潰瘍(UD)205例,併存潰瘍5例,潰瘍を証明できないが症状が続き過酸の14例である.術前に胃排泄時間が6時間以上延長していた10%にはドレナージ手術が追加された.手術適応は,5年以上の経過があり内科的治療で完全に治らぬもの,最少3カ月治療しても難治の潰瘍などである.5~7年後に,66%が無症状,23%が食事に注意していれば無症状,3%では症状は改善したがいまだに消化器症状あり,8%(19例)で潰瘍が再発した.再発19例中,術前と同じ球部に再発したものは4例に過ぎず,15例では幽門輪や幽門前部などより近位に再発した.4例は術後1年以内,5例は2年目,6例は3年目,2例は4年日,2例は5年目の再発である.全例内科的に治療したが,症状が続きあるいは再発を繰り返した8例には胃切除術が施行された.再発以外に軽い早期ダンピング症候群8例,むねやけ8例,裂孔ヘルニア2例,などがあった.手術死は急性冠血栓による1例のみである.術後5年の体重は術前に有意差なく,血色素量,血清B12,血清鉄,TIBCは正常範囲内であった.
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