胃と腸ノート
潰瘍性大腸炎の内視鏡検査における壁伸展度の重要性
長廻 紘
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.1086
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112600
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近年日本でも大腸の炎症性疾患が増加して内視鏡検査の機会が増えてきた.内視鏡の役割として診断とともに,病期(stage)や治療効果の判定があげられる.一方では内視鏡医も増えてきて,内視鏡の“読み”も必ずしも安定したものとはいい難い.潰瘍性大腸炎における内視鏡検査の問題点にっいて私見を述べる.
古くはBaron(1964),Watts(1966)らが各観察者間の所見の差異ということを調べている.同一患者の同一部位を2~3人の医師が順々に内視鏡検査を行ない,そこで得られた所見を比較検討している.それによると出血の有無に関しては各検者において安定しているが,粘膜色調に関しては差異が大きいという結果が得られている.Wattsは比較的に客観性を有する所見として,①正常か異常か,②血管像の有無,③接触出血(contact bleeding),④浮腫,の4項目をあげている.
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