胃と腸ノート
実験胃癌犬における腸上皮化生の発生とその診断
鈴木 茂
1
,
橋本 忠美
1
,
河内 卓
2
,
松倉 則夫
2
1東京女子医科大学消化器病センター
2国立がんセンター生化学部
pp.1072
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112597
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色素を応用することによって胃粘膜の腸上皮化生が内視鏡的に診断できるようになってすでに5年が経過した.この間にこの着色現象は腸上皮化生の持つ吸収機能によって惹起されることが実証されてきたし,着色される腸上皮化生の内視鏡的形態も細かく分析され,さらにはこの形態と機能との関連までも組織化学的な面と共に追求されつつある.
このように腸上皮化生の病態が細かく判明してくるにつれて,次にわれわれの興味を引くものは,この病変の発生と経過であり,さらに胃癌との関係である.後者の問題は前者の発生と経過がある程度解明されてから考慮したほうが分析しやすい.しかしこの腸上皮化生の発生と経過を入胃で研究することはそれほど容易とは思われない.それはこの病変が内視鏡的に診断できるまでには相当の時間的経過が必要であるし,胃粘膜上にある面積をもって拡がるまでにはさらに長年月の経過が必要であるように現状では推測されるからである.
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