胃と腸ノート
食道早期癌のみつけ方,よみ方(1)―X線的に
山田 明義
1
,
遠藤 光夫
1
1東京女子医科大学消化器病センター
pp.390
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112253
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“早期食道癌を発見するためには,上部消化管のX線検査に際しては必ず食道も観察しなければならない”―当然のことである.しかし当消化器病センターを訪れる大きな陰影欠損を有する食道癌の患者のうちには,他医で胃X線検査をうけながら見のがされた症例が少なからずみられ,検査に際し食道には全然注意をはらわなかったとしか考えざるを得ない.胃X線検査に際しては必ず食道を少なくとも2方向から撮影しておくべきである.
私どもは食道の小病変がX線像でどのように現わされるかをみる目的で,食道癌症例でときにみられる食道内転移巣29症例を中心に調べてみると,初回検査で見のがしたものは9病変であり,その原因をみる1cm未満の小さいものが6例であり,また,撮影範囲にはいっていないもの(大部分はIu)4病変,充盈像,レリーフ像のみで,二重造影像が得られていない,撮影法が不適当であったもの5病変である.また,X線的に描写しえなかったものは,粘膜層のみに限局していたもの2病変,筋層内に限局したもの2病変,0.3cmのごく軽度の陥凹を有するもの1例である.スクリーニングに際して食道全長にわたる二重造影像が得られるならば,粘膜内癌のような特殊な病変以外は1cm以上あれば発見しうるものと考えている.
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