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編集後記
春日井 達造
pp.1001
発行日 1966年12月25日
Published Date 1966/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112002
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消化器,内視鏡,癌その他の国際学会において多数の研究成果が発表され,日本の消化器病学,特に早期胃癌の診断学が世界をリードしていることが内外の諸学者に等しく認められたことは誠によろこばしいことである.しかし一方,外国学者の発表を聞き,また親しく話し合って一,二感じたことがある.彼等がそれぞれ自分自身の学問に自信と誇りを持ち,私どもから見ると,少しく時代遅れではないかと考えられる方法でも自家薬籠中のものとして,その特徴を充分発揮し良成果をあげていることと,他人のオリジナリテーというものを尊重し,しかも自分自身で充分納得しない限り新しいからといって,徒らにとびつかないことである.この点新しがりやの日本人にとって反省してみる必要はないであろうか.流行を追うことのみに熱中せず,まず自分自身のものを伸ばすべきである.これがひいては人の仕事を尊重し,それを正しく評価し,消化吸収することにもなると思う.学問の世界におけるオリジナリテーというものはもっと厳しくあってよいと思う.
本号は粘膜下腫瘍の特集号として,そのX線,内視鏡及び細胞診断と,これに関する座談会記事を掲載し,シリーズものの胃潰瘍の座談会は治療問題に入った.
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