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編集後記
春日井 達造
pp.1548
発行日 1972年11月25日
Published Date 1972/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109054
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ファーター乳頭は十二指腸における悪性腫瘍の好発部位であり,膵,胆管の十二指腸開口部として古くから注目され,膵・胆道疾患との関連において種々検討されてきたことはよく知られている.しかし,その臨床診断となると上部消化管X線検査やLiottaにより初めて開発された低緊張性十二指腸造影法が唯一の形態学的検査法であった.しかし,この数年来ファイバー十二指腸鏡の開発進歩により直視下にこれを観察し,生検や細胞診が行なわれるようになり診断成績も更に向上した.
本号においては十二指腸乳頭部病変の臨床診断における最近の進歩を主題とし,X線と内視鏡診断をとりあげた.わが国におけるこの方面の最新の診断法と研究成果が集録されたわけだが,要するに,十二指腸も胃や食道と同様,診療の第一線の医師にとって自由に料理し得る臓器となったことは特筆すべきであり,肝,胆,膵への従来とは異ったデイメンジョンからのアプローチも試みられつつあり,今後の進展が楽しみである.
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