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L. R. Dragstedt Gainesbille, Fla.(Arch. Surg. 19, Dec. 1965,1005~1010)
1955年に初めて報告されたZollinger-Ellison症候群は,一般の消化性潰瘍の問題をクローズアップすることとなった.私どもは犬を使ってPavlovの小胃を応用し,食物と混合しない純粋の胃液を空虚な小腸に流し込み,典型的な消化性潰瘍を作ることができた.粘稠な胃液は腐蝕性が強い.しかし正常の状態では胃も十二指腸も消化されることはない.これは,いわゆる“mucus barrier”によって保護されているためであり,潰瘍は局所の死,すなわち血管攣縮,血栓,栓塞などにより抵抗力の減弱した部位に発生するという考えが多くの支持をえた.しかし金属円盤による焼灼,化学物質の局所注入,結紮による血管閉塞などの方法によって作られた人工潰瘍は,5~6週間以内に完全に治ってしまう.形態の類似は意味がない.消化性潰瘍の特徴はChronicity,Progression,Failure to healである.十二指腸潰瘍の発生はストレスにより迷走神経が高度に緊張し,胃液分泌過多になるためである.十二指腸潰瘍の患者は食物やアルコールやヒスタミンに対する胃液分泌量が,正常の人の25~50%も多く,ことに夜間空腹時には4,5倍にもなる.しかしVagotomyにより,この分泌過多を抑えることができる.Gastrinは十二指腸潰瘍の発生には重要な役割を持たないが,胃潰瘍の発生には主役を演ずる.胃内の食物の異常な滞留により,胃前庭部粘膜からGastrinが血流中に遊離をつづけ,胃液分泌を促進する.粘稠な胃液は胃壁を腐蝕するに十分な濃度(pH3~2以下)に達する.胃十二指腸潰瘍併存は,おそらく,まず十二指腸潰瘍が発生し,幽門狭窄によって,食物の異常滞留をきたし,その結果潰瘍を併発したものであろう.胃潰瘍の手術は胃前庭粘膜のGartrinに対する感受性を弱めるためにVagotomyが有効であり,同時に食物の排出をよくするためのPyloroplasty,あるいはGastroenterostomyを行うがよい.
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