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Carbonie Anhydrese(C. A.)の阻害剤であるAcetazolamide(A. Z.)は,in vitroで胃液分泌を阻害する.胃粘膜をA. Z.の存在の下でさらにincubateすると粘膜の潰瘍と穿孔をきたす.著者らは,Altamiranoによる血流の保たれた犬胃粘膜のvivo-vitro標本を用いA. Z.による粘膜傷害と酸分泌の検討を行なった.実験はbasal period,histamine period,A. Z. period(80mg/kg i. v.)の三期よりなり,Mediumには各濃度のHCl,庶糖液,Na2SO4液を用いた.長期に160mEq/LのHClで胃粘膜をincubateしてもA. Z.を投与しなければ,またA. Z.を加えてもHC1が30mEq/L以下であれば粘膜の傷害は起らない.これに対しMediumが160mEq/L HClであればhistamine刺激の有無にかかわらず,A. Z.によって傷害がみられる.160mEq/L HCl中でincubateした場合,胃粘膜表面34cm2のH+の動きをみるとbasal periodではMediumより0.091~0.180mEq/20minの消失,histamine periodでは0.867mEq/20minの分泌,A. Z. periodでは0.555mEq/20minで消失が測定される.
従来A. Z.やCO2欠乏によって胃粘膜傷害が起るのは粘膜内でH+が分泌されるときにH2O由来のOH-が中和されないためであるといわれ,著者らの実験の一部もそれで説明されるが,高濃度HCl中ではhistamineを投与せず,酸生成がない場合でもA. Z.で傷害がみられたのは,むしろ問題が粘膜表面の内因性,外因性の酸の存在にあることを示唆する,A. Z.投与後,胃粘膜は高濃度のHClに対するbarrierを保てなくなり,MediumからH+の消失が起り,組織学的にはoxyntic cellではなく,表面粘膜細胞に強くみられる傷害を伴う.
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