今月の主題 早期胃癌〔1〕
胃の細胞診
細胞診の利用価値と診断法―特に消化器悪性腫瘍の診断に関する諸問題
石岡 国春
1
,
渡辺 晃
1
,
武田 鉄太郎
1
,
鮎沢 甞次郎
1
,
但木 博
1
,
大里 篤志
1
,
狩野 敦
1
,
千葉 寛
1
1東北大学医学部山形内科
pp.63-89
発行日 1966年4月25日
Published Date 1966/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111973
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はじめに
消化器疾患の診断は,X線検査,内視鏡検査,生検法および諸種の生物学的,物理的,化学的検査法の進歩普及によって著しい進歩を示しつつあるが,近時長足の普及発達を遂げつつある細胞診によってさらに精細を加えるにいたっている.
周知のように,Papanicolaouにより樹立された剥離細胞診(Exfoliative cytology)は,悪性腫瘍局所から剥落した細胞または細胞集団が,悪性腫瘍以外の他の良性病変の範囲では決してみられないような細胞形態学的異型像を有するので,かような細胞または細胞集団における形態学的異型像をもって悪性腫瘍を診断する方法である.したがって,細胞診の主要日標の1つは,悪性腫瘍の細胞学的レベルでの診断にあるといっても過言ではなく,近年の研究の焦点は,早期癌の診断,癌の迅速診断における細胞の採取と処理に関する方法論および癌腫の鑑別診断上問題となる剥離細胞像の解析などに向けられているが,その適応と臨床的意義については慎重に考慮を要する問題がある,以下黒川内科,山形内科における消化器悪性腫瘍の細胞診の経験に基づいて,これらに関する2,3の問題点についての意見をのべてみたいと考える.
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