技術解説
胸腹水の細胞診
石岡 国春
1
,
武田 鉄太郎
1
,
永沼 悦夫
1
ISHIOKA KUNIHARU
1
,
TAKEDA TETSUTARO
1
,
NAGANUMA ETSUO
1
1東北大学医学部山形内科
pp.265-273
発行日 1964年4月15日
Published Date 1964/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916748
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はじめに
胸腹水の細胞診の最も重要な適応は悪性腫瘍であり,悪性腫瘍細胞を証明することによって胸腹水貯留の原因が悪性腫瘍であることを直接的に根拠づけることができる。胸腹水の細胞診は,胸腹水が容易に採取され,塗抹標本作製までの操作時間も短時間であり,また悪性腫瘍性胸腹水内にはきわめて高率に腫瘍細胞が検出されるので,胸腹水貯留の原因が良性か,悪性か不明である場合には,疾患の予後および治療方針の決定にきわめて大きな意義を有するものと考えられる。胸腹水の物理化学的性状や肉眼的性状は,良性か悪性かの鑑別上間接症状としてある程度役立ち得るが,確実な決め手とはならない。胸腹水の細胞診が一般物理化学的検査と同時に日常の検査として望まれる所以である。ここでは主として悪性腫瘍性胸腹水の細胞学的鑑別診断に関して述べてみたいと思う。
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