胃と腸ノート
大腸の生検(Ⅱ)炎症性疾患
小林 世美
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.1168
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111863
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炎症性疾患での生検は,炎症の程度を知る助けになり,その後の治療による効果を判定する材料となる.特異的な組織所見とはいえないまでも,ある程度,潰瘍性大腸炎と肉芽腫性大腸炎での炎症の様相の相異を把握することができる.
1.潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)
特異的な組織所見はないが,肉芽腫性大腸炎と区別できる場合がある.また潰瘍性大腸炎は,それぞれ異なる時期に異なる炎症所見を呈する.急性活動期には,好中球の著明な浸潤と陰窩膿瘍(Crypt abscess)(図1)を認め,充血及び出血の状態が,組織上で毛細血管過多(Hypervascularity)として現われる.潰瘍性大腸炎では,これらの所見は,通常粘膜固有層に著明にみられる.急性期の粘膜上皮は種々の程度に破壊され,杯細胞の分泌が盛んなので,いわゆる“粘血便”が排出される.
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