胃と腸ノート
食道静脈瘤からの出血の原因としてのビランの意義
多田 正大
1
,
川井 啓市
1
1京都府立医科大学 第3内科
pp.28
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111725
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食道静脈瘤からの出血は急激に重篤な状態に陥りやすく,しばしば致命的であり,門脈圧亢進症患者の予後を左右する重要な消化器疾患の一つである.
すでに発表したが食道ファイバースコープによる観察所見にしたがって,静脈瘤の形状・占居範囲から,Ⅰ群(Ⅰ度);血管の怒張と蛇行を認めるが,食道の蠕動運動や過剰の空気の挿入によって静脈瘤の形状が不明瞭になり,占居範囲は第2,第3狭窄部の中間より肛門側の軽度のもの,Ⅱ群(Ⅱ度);半球状ないし結節状の隆起として観察され,蠕動や過剰の空気の挿入によっても比較的明瞭で,占居範囲は第2狭窄部位より肛門側の中等度のもの,Ⅲ群(Ⅲ度);著しく緊満した大きな連珠状の隆起で,蠕動や過剰の空気の挿入にもかかわらず恒存性があり,占居範囲も第2狭窄部位をこえて口側にまでおよぶ高度な静脈瘤,に分類している.
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