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書評「胆道・膵手術―血管処理と応用技術」
斎藤 洋一
1
1神戸大学
pp.1266
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111538
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本書は,Ⅰ.胆道外科手術の実際,Ⅱ.膵臓外科手術の実際,Ⅲ.門脈圧充進症状に対するシャント手術の実際,の3編から構成されているが,いずれもこの領域の手術に際しては脈管の処理が最重要との観点に立脚して,血管の走行と変異に触れている.しかも他の書物と異なり処理上の pitfall を1つ1つ挙げ,またその際の対処も含めて記載してあるため,ややもすれば通常は見過ごしてしまいがちなこの部分を熟読させるに十分な魅力を備えている.
第1編では,良性胆道疾患の手術として,①胆囊摘出術,②総胆管結石症の手術,③膵管胆道合流異常の手術,④胆管狭窄に対する手術,⑤胆管損傷に対する手術などについてまず記載されているが,いずれも起こりうるpitfallおよびその対応策が細かい配慮で記されている.次いで上部胆管癌の手術に多くの頁を割いているが,著者が基本に血管外科の素養を持っておられることが遺憾なく発揮され,血管処理とその応用手技力群しく述べられている.
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