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書評「要説 膵・胆道病学」
石井 兼央
1
1旭川医科大学
pp.480
発行日 1979年4月25日
Published Date 1979/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107654
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膵臓病学の最近の進歩にはめざましいものがある.これは次々に開発された膵臓病の診断技術が臨床的に応用されるようになり,慢性膵炎,膵癌の診断が可能になってきたことと蓄積された症例によって臨床像の把握ができるようになってきたことによるものであろう.膵臓病学が一つの体系として成立するようにようやくなってきたことをしめすように,近年わが国でも膵臓病についての単行本の出版もいくつか行われている.
しかし筆者自身も感じていることであるが,膵臓病学に関する単行本でもっとも重点がおかれているのは検査法による診断であり,膵臓の生理機能については日進月歩の勢いで知識が増しつつある消化管ホルモンに焦点があてられているように思われる.これらの問題はもちろん最近の大きな進歩の結果であり,将来への飛躍の基底となる重要な課題であることは疑う余地はないが,このような重点的な内容をもつ単行本は医学生,研修医,専門外の医師にとって読みにくいものであろうことは想像にかたくない.
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