一頁講座
Ⅱbの内視鏡診断
上野 恒太郎
1
1東北大学医学部山形内科
pp.1602
発行日 1971年11月25日
Published Date 1971/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111490
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癌は潰瘍またはびらんをつくり易く,とくに癌が粘膜表面に露出した部分ではほとんどといってよいぐらいに粘膜欠損がみられます.それ故,胃粘膜表面に欠損や隆起性変化を伴わないⅡb型癌とは,その部の胃粘膜に癌が存在する状態としてはごく初期の病像と考えられます.
Ⅱbの実際の病型としては,早期胃癌のごく初期の病像でいわゆる典型Ⅱbと呼ばれるものと,すでに存在する癌の周辺粘膜に癌の進展形式の一つとしてみられるいわゆる随伴Ⅱbとがあります.一方,非常に浅いびらんが点在するが病巣全体としては陥凹がはっきりせず周辺の非癌粘膜との境界がよみとれないものや,病巣全体のひろがりに対して凹凸の変化が軽小な病変などでは,ⅡbとⅡc(またはⅡa)とどこで一線を画するかが実際上の問題となります.今春のシンポジウム“Ⅱbをめぐって”では,このようなごくわずかしか凹凸のない癌を従来の明らかなⅡc(またはⅡa)と区別して類似Ⅱbと呼称し,前述の典型Ⅱb,随伴ⅡbとともにⅡb診断の手がかりを得るための検討が行なわれました.
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